五色龍王襖絵

五色龍王襖絵

 高野山ともご縁が深く、当院では仏画の会の御指導を仰いでいた江本象岳師より、白衣大観音建立七十周年を記念して、慈眼院大広間襖絵奉納のお申し出をいただいたのが平成18(2006)年秋のことです。それから約一年半を経て、このたび平成20(2008)年四月、仏法の守護神である五色龍王を名実共に勧請することとなりました。41枚からなる襖絵は、色彩鮮やかな五色の龍王が七頭、上毛三山に降り立つ物語となっています。仏教では龍と観音は深いつながりをもっています。元来邪神であった龍はお釈迦さまに教化され、天竜八部衆という護法善神の一員となりましたが、天候や自然の運行などを司り、人間の力では到底太刀打ちできない大きなエネルギーを持っています。それを統御するのが限りなく深い慈悲と智慧を秘めた龍頭観音なのです。荒ぶる龍がかけ巡る嵐のなか、その混沌を超越して静かにたたずむ龍頭観音の御姿は、まさしく白衣観音でもあります。また五色は、密教では仏の五智を表し、大日如来を中心とした五仏にも配せられ、仏の様々な特色、功徳を象徴しています。上州の名山に常駐していただく五色龍王は、観音さまや地域をお護りするのがお役目ですが、ご縁を結んだ私たちにも御加護を与えてくださるものと信じています。 白衣大観音の優しさと慈しみの御心と同様、目には見えない形ではありましょうが、五色龍王はいつも私たちを力強く励まし支援をし、昇竜の勢いの如く繁栄発展、向上へと導いてくれることでしょう。

五色龍王襖絵左 五色龍王襖絵右

普段は寺宝として収納庫に保管し、遙かに御加護を仰ぎつつ、観音山の自然が美しく装いを変える新緑と紅葉のころ、守護神《五色龍王》にまみえる場として襖絵公開を行なっております。 どうぞこれからは定期的に、山とまち(聖と俗)を往復する宗教的循環運動のなかに身を委ねていただくことをお勧めいたします。そしてさまざまに矛盾する心中の葛藤を止揚する一助となしていただければ幸いです。